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最初のNISA口座を開設する金融機関選びがとても大事




いよいよ2014年1月1日からNISAがスタートします。

NISA口座の開設手続きは2013年10月1日からできるようになっているので、もうNISA口座を開設したという方も多いと思いますが、まだNISA口座を開設していない方に向けて最初にNISA口座を開設する金融機関は、目先のキャンペーンなどに惑わされず慎重に決めなければいけないということを説明したいと思います。


NISAって何?

 NISAというのは「少額投資非課税制度」の愛称です。英国の"Individual Savings Account (ISA)"を参考にした制度であるため日本版ISAということでNISAという愛称が付けられています。
 
このNISAという制度は来年の1月1日から実施される予定となっています。
 
 NISAの制度を簡単に説明すると少額の投資が非課税になる制度です。

2014年1月から2023年までの10年間、NISA口座を開設して年間100万円の範囲で上場している株や投資信託(公社債投信を除く)などを購入すると、そのあとの5年間はどんなに儲けても税金がタダになりますし、受け取る配当や分配金(普通分配金の場合)も税金がかからないというものです。
 
つまり、NISAの口座を開設することは、「非課税になる口座」を開設することになるわけです。
 
非課税になる期間は投資した年から最長5年です。
 

誰が利用できるの?

 日本国内に住んでいて、20歳以上の人であれば、だれでもNISA口座を開設することができます。
 
ただし、開設できるのは1人につき年間1口座(1金融機関)という決まりがあります。
 

最初のNISA口座を開設する金融機関選びがとても重要

非課税期間が終了したらどうなるの?

 1つのNISA口座を利用できる期間は最長5年です(ただし、投資できるのは最初の年だけ)。この最長5年の非課税期間の間に株や投信などを解約、売却しなかった場合には、その株や投信などを保有しているNISA口座は無くなってしまうので、別の口座に移す必要があります。
 
これには2つの選択肢があります。
 
① 新たに開始するNISA口座の投資枠に移す(ロールオーバー
② 通常の課税口座(特定口座や一般口座に移管する)
 
例えば、2014年に投資をして、そのまま2018年12月末を迎えると、2014年スタートのNISA口座は消失します。
 
①新たなNISA口座に移管(ロールオーバー)を選択した場合には、2014年にNISA口座で購入した株や投信などを、2019年のNISA口座の枠に移すことになります。
 
一方、②課税口座(特定口座など)に移す場合には、2014年のNISA講座にある株や投信などは課税口座に移ります。
 

非課税期間終了時に、価格が下がっている場合には、NISA口座へのロールオーバーが賢い選択

 非課税期間終了時に、価格が下がっている場合は、課税口座ではなくNISA口座へのロールオーバーを選択するのが賢い選択と言えます。
 
例えば、投資した100万円が5年間の非課税期間終了時に80万円になっていたとします。この場合には、課税口座に移管する際の取得価格は「80万円」になります。
 
課税口座に移してから、値上がりして140万円になった場合、取得価格は80万円ですから、140万円から80万円を差し引いた60万円に対して税金がかかります。
 
したがって、税金は60万円×20%=12万円になります。
 
しかし、投資したお金は100万円です。仮にNISA口座を使わなかった場合は、140万円から100万円を差し引いた40万円に対して税金がかかるため、税金は8万円で済みます。
 
また、投資した100万円が非課税期間終了時に80万円まで値下がりし、その後90万円まで戻ったとします。
 
この場合、取得価格は80万円になるため、90万円から80万円を差し引いた10万円に対して税金がかかります。
 
したがって、10万円×20%=2万円の税金を支払う必要があります。
 
しかし、仮にNISA口座を使わなかった場合は、投資した100万円が90万円になったわけですから、税金を払う必要はありませんでした。
 
このように5年経過後に値下がりしていて、その後、価格が上昇するような場合には、NISA口座を使ったせいで損をする(=払う税金が増える)ということが起こります。
 
したがって、5年経過後に値下がりしている場合には、NISA口座へロールオーバーして価格が投資したお金より高くなるのを待った方が余計な税金を払わずに済むといえます。
 

最初のNISA口座を開設する金融機関選びがとても重要

 現状のNISAの制度には、
 
・ NISA口座を開設できるのは、原則1人1口座(1金融機関)
・ 「①2014~2017年」「②2018~2021年」「③2022~2023年」はそれぞれ同じ金融機関のNISA口座を利用する必要がある
・ NISA口座内の株や投信を他の金融機関のNISA口座に移すことはできない
 
という決まりごとがあります。
 
この決まりごとを見ると、「①2014~2017年」「②2018~2021年」「③2022~2023年」のそれぞれの期間ごとに金融機関を変えることはできるので、10年で3つの金融機関にNISA口座をつくることは可能であることがわかります。
 
しかし、仮に①の期間にある金融機関にNISA口座を開設して運用し、非課税期間終了時に新たなNISA口座に移す(ロールオーバー)場合には、①と②の期間は同じ金融機関でなくてはいけません。
 
こうした縛りがあるので、最初のNISA口座を開設する金融機関選びはとても重要なものとなります。
 

詳しくは「NISA活用入門」で

 今回の記事は「NISA活用入門」で知ったことをもとに作成しました。

「NISA活用入門」では図も使ってNISAのことがとてもわかりやすく丁寧に解説されています。

もし今回の記事でNISAに興味を持った方、あるいはNISAについてもっと知りたいと思った方がいらっしゃいましたら、ぜひ「NISA活用入門」を読んでみてください。


「NISA活用入門」ではNISAだけではなく、個人型DCや企業型DCなどといったNISA以外の投資での税金を優遇する制度も紹介されており、NISAだけを利用するのではなく、それぞれの人のビジネススタイル、ライフスタイルに合わせて複数の制度を効果的に組み合わせて利用する方法も紹介されています。