オミクス博士のブログ

薬学の博士課程のブログ

将来の遺伝子検査ビジネスはどうなっているの?


 現在、遺伝子検査はだれでも受けようと思えば受けられる時代に入ってきています。日本にはまだ遺伝子検査サービスを直接、市民に売り込むような民間企業は出てきていませんが、海外では23&ミーやナビジェ二クス、デコードなどの会社が遺伝子検査サービスを直接、市民に提供しています。


提供している遺伝子検査の結果には、どういう病気になりやすいのかはもちろん含まれていますが、それだけではなく、ある薬剤への感受性や、さらにはお酒の強さや祖先、耳あかのタイプ、目の色などといったユニークなものも含まれています。

これらの会社でできる遺伝子検査は現在のところ全DNA分子の0.1%未満に関するものにすぎませんが、DNA配列決定の技術はどんどん高速で低コストになっているので、今後10年以内に誰でも1000ドル未満の費用で自身の全DNA配列、30億塩基対の暗号情報を容易に得られるようになるだろうと予想されています。

将来的には、全DNA配列の遺伝子検査を行うこと自体の料金は格安でできるようになり、遺伝子検査の料金の大部分は検査結果の解釈の質で決まってくるのではないかと僕は思います。

遺伝子検査の結果の解釈を遺伝学の専門家に依頼し、とても高額な料金を請求する会社がある一方で、結果の解釈を遺伝学に少し詳しい大学生や一般市民に依頼し、手ごろな料金で遺伝子検査サービスを提供する会社、遺伝子検査の結果のみを格安な料金で提供し、結果の解釈は顧客に任せる会社などが現れてくるのではないでしょうか。


詳しくはこちらの本を読んでみてください。
遺伝子医療の現状がとても詳しく解説されていて、今後、遺伝子検査が私たちにとってどんどん身近なものとなっていき、医療現場でも遺伝子検査を行うことが当たり前となっていくなかで、私たちはどのように行動していくべきなのかを考えるきっかけになると思います。



photo by MIKI Yoshihito